竹下文子/文 町田尚子/絵 小峰書店
2019年

ぼくは、なまえがない。
まちの ねこたちは、みんな なまえを もっている。
くつやさんの ねこも、ほんやさんの ねこも、おてらの ねこも。
ぼくは、なまえを さがす。じぶんの なまえを。
「のらねこ」も、「きたないねこ」も、そんなのは名前じゃない。雨の中、ベンチの下でうずくまるねこ。そこを女の子がのぞきこむ。ねこは、自分だけの名前をつけて、呼んでくれる人間を見つけます。
家ネコになるだけが、ネコの幸せとは思いませんが、この子は、名前をとおして、自分の家を探している子でした。それとは気づかず、町の中を名前、名前と探して歩いている時は、まだ呼んでくれる人のいない寂しさを感じさせませんが、しっしと追い払われて雨の中、ベンチの下にうずくまる姿は、猫好きの心につきささります。そして、女の子との出会い。自分のほしかったものを理解した時の、ねこの横顔と緑色の目が本当に印象的です。この絵本が話題になるのも、もっともです。
町田さんのねこの絵は、リアルでなおかつ、そこからねこの感情が伝わってくる絵です。でも、いつもの町田さんのねこの絵本は、もっとネコネコしいのですが、この絵本は、竹下さんの文につけた絵のためか、いつもよりちょっとかわいらしさが勝っています。ついネットで調べて、ポストカードを買ってしまいました。紹介するまでもない有名ねこ絵本ですが、はずせずに紹介してしまいました。
