わたりむつこ/さく 中谷千代子/え 福音館書店
1973年

いちごばたけの つちのなかには、いちごのみに あかい いろを つける しごとをする ちいさな おばあさんが すんでいます。
あるとし、まだ はるは さきなのに、あたたかく、もう いちごばたけに はっぱがひろがっていました。おばあさんは おおあわて。
ひゃくだんの かいだんを かけおりると、いちごの いろをつくるため、みずをくみ、いしを ほり、できた あかい みずを ばけつに いれ、かいだんを かけあがります。
冬の終わりには、妙に暖かい日が続いたり、突然雪が積もる日があったりします。そんな季節に翻弄される小さなおばあさん。なにしろ、おばあさんの住んでいる畑の下の地面の中のおうちは、アリの巣のようになっていて、なにをするにも、何百段もの階段を上り下りしなければならないのです!しかも、一刻の猶予もなく、とにかく大急ぎで。なんという過酷な仕事!いちごのきれいな赤をつけるためには、かくも過重な労働がひそんでいたのです。あげくに、なんと全てが終わってほっとした翌日、雪が積もっているという・・・。大人が読むと、つらすぎる。
つい、自分におきかえて考えてしまいましたが、絵本の世界はそうではありません。小さなおばあさんが(きっと、いちごの精)一生懸命、ちょっとずつ、緑色のいちごを赤くする。その過程にわくわくします。不思議な魔法のようです。おばあさんの住む土の中の家も、いりくんでいて、楽しそう。いろんなお部屋があるのです。せっせとがんばったかいあって、雪の積もった中からも、動物たちはちゃんといちごを見つけて喜んでくれます。私たちの知らないうちに、いつの間にかお仕事をしている、小人のおばあさんのステキなおはなしです。ちょっと文章は長めなので、ぜひ、冬の終わりにおうちで読んでみてくださいね。