『アンナと冬のすみれ』


ネッティ・ローウェンスタイン/再話 エリザベス・ハーパー/絵

中川千尋/訳 徳間書店

2000年

むかしむかし、あるところに、アンナという女の子が、まま母とその連れ子のねえさんといっしょに、森のそばの小さな家にすんでいました。アンナは、朝から晩まではたらいていました。

こごえるほどさむい十二月のある日、アンナはねえさんに「すみれをつんできて」といわれ、上着も着ずに外にだされました。すみれは冬にはさきません。

森の奥にいくと、あたたかなたき火があり、十二人のひとがいすにすわって輪になっていました。アンナのはなしをきくと、おおきないすにすわったおじいさんが、「わしらは、十二の月なのだ」といい、三つずついすをずれて、三月の春にしてくれました。アンナはいそいですみれをつむと、おれいをいって家にかえりました。

そのはなしをきいたかあさんとねえさんは、「どうして、りんごやぶどうをたのまなかったんだい。すごいねだんで売れただろうよ」というと、ふたりで森にはいっていきました。


『十二の月』というタイトルでも語られる昔話で、働き者で心やさしい娘が、継母と姉にいじめられるという西洋の昔話の黄金パターンです。やさしい正直者はよいプレゼントをもらって帰ることができますが、それを真似た欲張りは不幸なめにあうことになっているのです。このお話のかあさんとねえさんは、十二の月にもわがままを言い、一月の強い風にとばされると森の奥で二本のねじれた木になってしまうのです。時に厳しい仕打ちをうける昔話の悪者ですが、子どもにとって、悪がきちんと退治されることは大切なことなのです。

この絵本では、エリザベス・ハーパーのふんわりと優しい絵で、十二の月がそれぞれ森の精霊のように描かれています。森の奥深くに、そんなすてきな精霊たちがいる場面だけでも、とてもどきどきして想像力が刺激されます。この昔話をモチーフとした絵本は他にもありますが、この絵本は、特にかわいいものの好きな女の子向けといえます。ちなみに、あおぺんは三月生まれなので、三月の精霊が一番すてき!と思っています。

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