エミリー・ジェンキンス/文 ソフィー・ブラッコール/絵
横山和江/訳 あすなろ書房
2016年
![](https://aopen.site/wp-content/uploads/2023/11/5144e64f76e42c54f9d647e98bc5b42b.jpg)
300年まえのイギリス。女の子とお母さんが、野原でブラックベリーをつみ、牛乳からクリームをすくい、こえだをたばねたものでかきまぜます。井戸の水でベリーをあらい、つぶしてさとうをまぜクリームにいれると、丘のあなぐらの氷でひやします。
200年まえのアメリカ。農場の使用人の女の子とお母さんが、庭でブラックベリーをつみ、生クリームをブリキのあわたてきでまぜ、井戸の水でベリーをあらい、地下室の木箱の氷で冷やします。食べるのは、農場主の家族です。
これは、ブラックベリー・フールというデザートを作っています。出来上がりは一緒ですが、作り方は時代によっていろいろ変化してきました。
さらに100年たつと、ベリーは買い、牛乳は配達に、泡立て器は木のハンドル式になり、水道と木の冷蔵庫もでてきます。そしてさらに100年たって最近になると、男の子とお父さんがネットで作り方を調べ、スーパーで材料を買い、電動式の泡立て器で作ります。
作者も画家も、時代時代によって変わってきた道具や家の様子、服装など、細かく調べこの絵本を作り上げたそうです。細かい部分も楽しめます。
200年前の女の子は、使用人なのでせっかく作ったこのデザートを自分で食べることはできません。でも、笑顔で楽しそうに作っています。なぜなら、いつの時代も変わらないことがあって、それは途中でかきまぜたスプーンについたベリーのクリームをなめられることと、最後にボウルについた残りを味見できること。これだけは、今も昔も、使用人も関係なく、子どもの楽しみなのでした。