松谷みよ子/文 瀬川康男/絵 ポプラ社
1967年

ちょうふくやまという たかいやまの ふもとのむらで、むらびとが つきみを していると、そらが にわかに かきくもり、かぜが ごうっと ふいてきた。
「ちょうふくやまの やまんばが こを うんだで、もちを ついてこう」
つぎのひ むらじゅうで そうだんし、ついたもちを むらの あばれんぼうの ふたりに もっていかせることにした。
ところが、ふたりは みちが わからんと いう。そこで 七十いくつの あかざばんばが あんないを かってでた。
やまを のぼっていくとちゅう、あばれんぼうの ふたりは おじけづき、ばんばと もちを のこして いなくなってしまった。
とんでもなく高いちょうふく山を休み休み上ったばんばは、やまんばに歓待され、赤ん坊が捕ってきた熊ともちの汁をご馳走になり、21日滞在した。そして減らない錦をもらって、赤ん坊に送られて無事村へ帰ってきた。という優しいやまんばの昔話。
やまんばといえば、基本的には怖いことが多いのですが、このやまんばはちょっと違います。生まれたばかりでまだよく物事がわかっていない赤ん坊の「がら」が、村人をおどかしてしまいますが、やまんばとしては、そんなつもりはなかったのです。まあ、もちは要求していますが。やまんばのくれた減らない錦は、村中で共有され、村人がかぜをひかなくなったというめでたしめでたしで終わります。
あおぺんは、子どもの頃この昔話が好きでした。若者よりばんばの方が勇敢なことや、やまんばが親切なことが、子ども心に響いたのでしょうか。秋になると、この昔話ともうひとつの昔話を思い出します。当時放送されていたアニメ「まんが日本むかしばなし」で観たのかもしれませんが、たとえアニメであっても、毎週のように昔話に触れられる環境というのは、ありがたいものでした。
こちらは秋田の昔話だそうです。