マット・デ・ラ・ベーニャ/作 クリスチャン・ロビンソン/絵
石津ちひろ/訳 鈴木出版
2021年

マイロは まいつき さいしょの にちようび、 おねえちゃんと ちかてつに のる。
マイロは いつも きんちょうする。そこで、きもちを しずめるため、まわりのひとを えにかく。
となりの せきの おじさんは、きっと ふるい アパートの 5かいに すんでいて、ねこたちが まっているんだ。
ジャケットを きて おとうさんと のってきた おとこのこは、おうじさま なんだ。
ぼくは どう みえるのかな。
もくてきの えきで おりる。マイロは おどろく。あの おとこのこも おなじばしょに いくんだ。 みかけだけじゃ、そのひとの ほんとうのことなんて わからないんだ。
マイロのスケッチブックは、マイロの想像した人たちでいっぱい。でも、マイロは考える。もしかしたら、おじさんは家族と楽しく暮らしているのかもしれない。そして、お母さんと会う。マイロのかいた家族の絵をお母さんに見せる。笑ってと願いながら。
これは、ニューヨークの地下鉄なのかな。ウェディングドレスを着た女性が乗っていたり、駅と駅の間でパフォーマンスをするダンサーが乗ってきたり。実に多種多様な人が乗っています。マイロが気をまぎらわすために、その人たちのくらしを想像し、絵を描きながら向かうところは、実は刑務所です。子どもには、何の施設かわからないと思いますが、オレンジ色の服を着て面会室にいるお母さんを見ると、大人は「ああ、そうだったんだ」と悟ります。
日本では、こういう絵本は出てこないだろうなと、驚きます。でも、子どもに真実が100%伝わらなくてもいいんじゃないだろうか、と思います。子どもが、病院なのかな、とか何かの施設なのかな、と思うかどうかわかりません。ただ、月一回お母さんに会いに行くマイロが緊張し、どきどきし、それでもいろんなことを考えながら地下鉄に乗っていく。そんな子どものようすが伝わればいいのかな、と思います。
この作者のコンビは、5月1日にご紹介した『おばあちゃんとバスにのって』を書いたコンビです。アメリカの現実を、暖かい視点から語る作品を作っています。