『おばあちゃんのにわ』


ジョーダン・スコット/文 シドニー・スミス/絵 偕成社

2023年

ババは、大きな道のそばの もとニワトリ小屋だった家に すんでいる。目のまえには工場があって、硫黄の山が黄色にかがやいている。

毎朝 おとうさんが、ぼくを車でババの家までおくってくれる。ババはにわでとれたたべものをつかって朝のスープを作ってくれる。ババは昔、とても長いあいだ食べるものがなくて、こまったことがあるらしい。

学校におくってくれるとちゅう、ババは雨の日なら ゆっくりあるいて ミミズをひろう。それを ポケットのガラスびんの中の土にいれてもってかえり、にわにはなす。


ババとはポーランド語でおばあちゃんのこと。ババは第二次世界大戦後の移民で英語はあまり話せない。とても働き者で、いつもキッチンで動きまわっている。ぼくが食べ物をこぼすと、さっと拾ってキスしておわんに戻す。ババにとって庭で育てる野菜はとても貴重なものなのでしょう。そんな生活も長くは続かなくて、いまババの家のあったところには、ビルが建ち、ババはぼくの家で寝ている。窓には庭から持ってきたミニトマトの鉢植えがある。いまのババにはそれしか庭のかわりになるものがない。けれども、ぼくは雨の日にはミミズを探してポケットのびんに入れる。

静かな、心にしみる物語です。大人としては、ババがどんな思いでこの家で暮らし、庭を大切にし、孫に食事をあげていたのか。ババから見たら恵まれた青二才のあおぺんには、まだ完全にはわかっていない気がします。

そこに言葉がなくても、行いで伝わるものもあるのだと。そんなことがじんわり伝わる絵本です。前世代で、それぞれ違う感じ方のできる絵本だと思います。

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