『300年まえから伝わるとびきりおいしいデザート』


エミリー・ジェンキンス/文 ソフィー・ブラッコール/絵

横山和江/訳 あすなろ書房

2016年

300年まえのイギリス。女の子とお母さんが、野原でブラックベリーをつみ、牛乳からクリームをすくい、こえだをたばねたものでかきまぜます。井戸の水でベリーをあらい、つぶしてさとうをまぜクリームにいれると、丘のあなぐらの氷でひやします。

200年まえのアメリカ。農場の使用人の女の子とお母さんが、庭でブラックベリーをつみ、生クリームをブリキのあわたてきでまぜ、井戸の水でベリーをあらい、地下室の木箱の氷で冷やします。食べるのは、農場主の家族です。


これは、ブラックベリー・フールというデザートを作っています。出来上がりは一緒ですが、作り方は時代によっていろいろ変化してきました。

さらに100年たつと、ベリーは買い、牛乳は配達に、泡立て器は木のハンドル式になり、水道と木の冷蔵庫もでてきます。そしてさらに100年たって最近になると、男の子とお父さんがネットで作り方を調べ、スーパーで材料を買い、電動式の泡立て器で作ります。

作者も画家も、時代時代によって変わってきた道具や家の様子、服装など、細かく調べこの絵本を作り上げたそうです。細かい部分も楽しめます。

200年前の女の子は、使用人なのでせっかく作ったこのデザートを自分で食べることはできません。でも、笑顔で楽しそうに作っています。なぜなら、いつの時代も変わらないことがあって、それは途中でかきまぜたスプーンについたベリーのクリームをなめられることと、最後にボウルについた残りを味見できること。これだけは、今も昔も、使用人も関係なく、子どもの楽しみなのでした。


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