谷川俊太郎/文 中里和人/写真 アリス館
2023年
2007年 ビリケン出版を改訂
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小さなトンネルの向こうに見える茶色くさびたこや
むかしから ずうっと ここにたってる
空が水に映る水田わきのこや
まいあさ そらに おはようっていう
山の斜面に建つ三角トタン屋根の赤い小屋、青い小屋。草に覆われた謎の小屋。あまり人気のなさそうな場所にポツンと建っている小さな小屋。
海や山、道沿いや桜の木の下に、無骨に、今にもこわれそうに建っている、誰かが立てた小屋。ボロボロだったり、すきまだらけだったり。
なぜ小屋に着目したのか?と思いましたが、ページをめくっていくと、ひとつひとつの小屋に次第に興味がわいてきます。きっと、それぞれ誰かがいつか、必要があって建てた小屋なのでしょうが、忘れられたり、今でも使われていたり、いろんなストーリーがあるんだろうな、という思いが、谷川さんの文章によって想起されます。
大人が見る小屋と、子どもが見る小屋は違う気もします。もし、自分が子どもだったら、きっとどの小屋に住みたいかなとか、この小屋にはりすが住んでるんだとか、想像して楽しくなったはずです。そう考えると、大人になっていろいろ空想することが減っていることに気づかされます。
でも、たくさんの小屋の中にひとつだけ、明かりのついた小屋があって、ああ使われてるんだね、とホッとする自分もいました。
みなさん、小屋になにを見ますか?