『たべられたやまんば』


松谷みよ子/脚本 二俣英五郎/絵

童心社 16場面

むかし、おてらに すむ こぞうが、山へ くりひろいに いくと、ひとりの おばあさんが でてきて、「おれは おまえの おばだぞい。こんばん くりこ にておくから あそびにこい」と いいました。

おてらに かえった こぞうが、おしょうさんに そのはなしを すると、おしょうさんは、「そりゃ やまんばだ」といいましたが、こぞうは 「いきたい」といいます。そこで、おしょうさんは こぞうに、三まいの おふだを わたしました。

こぞうが、おばあさんの いえに いくと、おばあさんは くりを たくさん たべさせてくれ、ねむくなった こぞうを ねかせてくれました。ところが・・・


昔話には類話がたくさんあって、語られてきた地方によって多少の違いが出てきます。有名な昔話「三枚のおふだ」も類話があり、この紙芝居ではタイトルが「たべられたやまんば」とされています。

うかつで単純な小僧は、簡単に山姥にだまされ、夜、山姥が正体を現して包丁を研いでいるところを目撃します。あわてて逃げ出そうとしますがみつかり、便所に行くといい訳します。山姥に帯のひもをつけられ、便所に生かされた小僧は、和尚さんにもらったお札の一枚目を身代わりにし、便所から逃げ出します。

その後、逃げる過程で、お札で川を出したり山を出したりしますが、この便所のお札が楽しいポイントです。小僧のふりをして「でたか こんぞう」という山姥に、「まあだ、まあだ」と返事をします。子どもにはとても面白いのではないでしょうか。読み手にとっても楽しい所です。

結局お寺に逃げ込んだ小僧は、和尚さんの知恵に助けられます。それにしても、いくら豆のように小さくなったとはいえ、和尚さん、よく山姥を丸のみできるなーと、大人になった今は感心するのですが、子どもの頃は、本当に安心したものです。

絵本、大きい子向けの昔話集、素話と、いろいろおはなしを聞かせる方法はありますが、子どもにたくさん昔話を聞いてもらいたいなあと、つくづく思います。


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