『のせてくださいな』


みやけゆま/さく BL出版

2023年

バスていに クロヒョウが いました。 のりものに のってみたいのです。

「のせてくださいな」

バスの うんてんしゅさんは こまります。でも、おぎょうぎよく のるならと のせてくれました。

でも バスのなかで、おおきな くしゃみ。おきゃくさんも うんてんしゅさんも びっくり。ほえるのは おぎょうぎが わるいので、バスを おろされて しまいました。

つぎは てをのばして タクシーを まちます。


乗り物にはお行儀よく乗らなくてはいけません。でもクロヒョウ、タクシーではうっかりシートでつめとぎ。おばさんのバイクの後ろでは、おおあくび。なかなかうまく乗っていられません。

このクロヒョウ、なかなかリアルなクロヒョウです。かわいい感じとか、二足歩行とか、そういうヒョウではありません。なのに、みんな戸惑いつつも乗り物にのせてくれるのです。バスもタクシーも、料金払ってないようですし、タクシーなんかシートがずたずた。なのに運転手さんお行儀が悪いことしかとがめません。なんていい人たちだ。

でもこのリアルなクロヒョウが、街灯につかまって二本足で立ち、右手の肉球を高々と上げてタクシーを止める様子や、おばさんのバイクの後ろの席にスフィンクス座りをする姿、最後に男の子の三輪車をかりて大きい体でギコギコこぐ格好は、なんだか微笑ましいのです。

うーん、でも表紙のような顔して「のせてくださいな」と言われたら、やっぱりちょっと断っちゃうかなー。ねこ科だから迷うけど、筋肉質でこわいんですよ。ごめんね。


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