『夏に、ネコをさがして』


西田俊也/作 徳間書店

2023年

一学期が終わって、6年生の佳斗は亡くなったおばあちゃんの家に引っ越してきた。おばあちゃんはネコのテンちゃんを外飼いして、かわいがっていた。白黒のハチワレのテンちゃんは、佳斗にもあいさつしてくれた。

ところが、テンちゃんが家に来なくなってしまった。心配した佳斗は、町を歩き回ってテンちゃんを探した。そこで出会った蘭という男の子は、ちょっとかわっているけどネコのことにくわしくて、佳斗と一緒にテンちゃんを探してくれることになった。

佳斗のおばあちゃんの知り合いのご近所さん、蘭の痴ほう症のおばあちゃん、ネコを嫌いなおじさんなど、たくさんの人と知り合い、ネコのことを学んでいく佳斗のひと夏の物語。


夏に読んでいたら、いつのまにか秋になってしまいました。この作者の西田さんには、『ハルと歩いた』というフレンチブルドックの飼い主を探す男の子の物語があり、好きだったので、今回も読んでみました。

今ではねこを外飼いする家も減ってきているのかな、と思います。佳斗の引越しした町は、子どもがあまりいないお年寄りの多く住む住宅地で、のらねこも多いようです。ねことの付き合いの浅い佳斗に、いろいろ教えてくれる蘭は、以前飼っていたねこを亡くしていて、複雑な感情があるようです。でも、二人とも優しくまっすぐな男の子たちで、読んでいてこちらも素直な気持ちになります。

佳斗の探しているハチワレのテンちゃん(男の子)は、ケガはしていましたが、無事見つかり佳斗の家に戻ってくることができるので、そこは安心して読んでください。あおぺんも、ねこを飼うようになってから、動物が不幸な目にあうのがツラくてたまらなくなってしまいました。ねこと、お年寄りと、さりげなく散りばめられた現代の問題が、描かれた高学年向けの物語です。


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