『かぜのかみとこども』


渋谷勲/脚本 わかやまけん/画  子どもの文化研究所/編集 童心社

1996年 12場面

あるあきのひ、むらはずれの おどうのまえで こどもたちが あそんでいると、きゅうに つむじかぜが ふいて、みたこともない あんにゃが たっていた。

「かきや なしが おちるところへ いきたくねえか。」「いきたい。」

こどもたちが あんにゃの しりの しっぽのようなものに またがると、そらへ まいあがりました。

やまをこえ かわをこえ ついたところは、かきや なしが いっぱい。

むちゅうで たべて、あそんで いると、ゆうぐれ。あんにゃは、「ねら(おまえ)たち いえへ かえれ。」と どこかへ とんでいって しまった。


置いて行かれた子ども達がたどりついたのは、あんにゃの親どんの家。あんにゃは、南風だった。風の神の親どんはご飯を食べさせてくれ、寝ていた北風を起こし、村へ送ってくれたとさ。その年、村には早めの冬がやってきました。

あおぺんが、秋になると思い出す昔話その2です。秋の日、子ども達が遊んでいるところへ、風とともにやってくる謎の男。謎のしっぽのようなものに乗って空を飛ぶ子ども達。ええー!とドキドキします。でも幸い、本当に柿や梨の実る場所へ連れて行ってくれます。ところが、自分の都合でさっさとどこかへ行ってしまう謎の男。日が暮れる山の中で途方にくれる子ども達。再びドキドキです。

男の正体は、南風の神。なんかイメージ的に、南風は自由気ままなんでしょうか。風の神の親どんは、福々しいお母さん。きちんと子ども達を家に帰してくれます。なんの悪気もない神様の気まぐれでした。帰れなかったら、ホントの神隠し・・・

空を飛ぶところが好きだったのか、なんの悪意もないところが好きだったのか。子どもながらに、とても印象に残っていますが、当時どんな媒体で知ったのか記憶はありません。でも、この紙芝居のわかやまさんの絵は、とっても魅力的。12場面の昔話は読むと8分以上かかると思いますが、ぜひ子どもやお年寄りに見てほしいです。

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