『ひとりでいらっしゃい』


斉藤洋/作 奥江幸子/絵 偕成社

1994年

兄貴のおつかいで大学にやってきたついでに、食堂で冷やし中華を食べようとした小学生の隆司は、導かれるようにとある教室に招きいれられた。そこで冷やし中華をごちそうになり、「むらさきばばあ」を知ってるかいと聞かれた。その西戸先生のグループは、幽霊やおばけの話をする怪談クラブだった。

今回の会のテーマは「こども」。隆司の話の他に「天井からこんばんは」「あの世の場所」「富士見トンネル」など、話は全部で7つ。楽しく聞いて隆司が家に帰ると、なんと時間がたってない。しかも西戸助教授もいないっていう。でも、ポストに葉書がとどいた。次の会は9月の第二日曜日、「ひとりでいらっしゃい」と。


大学のとある教室で、ひっそり開かれている怪談会。一人ひとつのおはなしを語る。そのお話しには題をつけ、話し終わるまでは他の人はだまって聞く。話し終わったら、その話についてみんなで意見を出しあう。

テーマはあるけれど、それぞれ色んな話を淡々とする。作者の斉藤さんも巻頭に書いていますが、「こわい話が好きな子どもとおとなのために。」とあるように、大人でも十分楽しめます。あおぺんは実話怪談系が好きなので、こういう雰囲気は大好物です。作りこまれた怪談より、さらっと語られてしまうような感じ。なにかと、この本を展示しているのですが、この楽しさがなかなか伝わらないようで、そんなに借りられません。非常に残念です。

この「七つの怪談シリーズ」は、全3冊。『まよわずいらっしゃい』『うらからいらっしゃい』と続きます。夏の必読書です。

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