『たんたのたんけん』


中川李枝子/作 山脇百合子/絵 Gakken

1971年、 2021年改訂

八月二十九日のあさ、たんの たんたは とびおきると、「ぼくの たんじょう日」と うたいました。

白いふうとうが たんたの 足もとに とんできました。 とかかれた ふうとうには、ちずが はいっていました。五さいの たんたは、たいちょうになって たんけんに いくことにしました。

ぼうしやさんで たんけんの ぼうしを かうと、ひょうの こどもも やってきて、たんけんの ぼうしを かいました。

たんたは 次に たんけんの おやつを かいました。三かく ストーロベリイ・キャンディです。 ひょうの こどもも かいました。

おもちゃやで ぼうえんきょうを かうと、ちずの スタートの まつの木へ むかいました。


『ぐりとぐら』のコンビによる幼年童話の名作。小学校低学年には、こういう夢が必要です。どこからともなく地図が届き、ひとりで探検にでる。でも、なんだかひょうの子どもがずーっとついてくる。ナチュラルにひょうの子は二足歩行。たんたのまねっこをしてきます。

「たんた」という名前も秀逸です。「ぐりとぐら」もすばらしいネーミングだと思いますが、自然に受け入れしかも記憶に残る名前です。あおぺんは、ずばり中川さんの作品で小学生活を過ごせたので、幸せだと思っていています。時間の流れが速い時代になってしまいましたが、子どもにとっての時間は豊かであってほしいです。ぜひ、本をゆっくり読めるという時間をとってください。本を読むということは、想像力も養えますし、時間もかかるということで忍耐力も養えると思います。想像力がないと、人の気持ちがわからない人間になってしまいそうですし、ある事をする事でどんなことが生じるかなどを、きちんと考えることもできなくなってしまうのではないかと心配です。ぜひ、柔軟な成長期に本を読む時間をとってほしいと思います。

あ、『たんけん』の姉妹編で『たんたのたんてい』は、『たんけん』の後日、夏の終わりの出来事です。あわせてどうぞ。

,

コメントを残す