『ひ・み・つ』


たばたせいいち/作 童心社

2004年

ゆうきの おかあさんのおかあさん、しんばあちゃんは、7がつ7かで 80さいになる。

プレゼントは なにが いいですかって てがみをかいた。

しんばあちゃんは、てんごくの おじいちゃんと ダンスしたいんだって。

ゆうきは なんとかして てんごくへいく ほうほうを かんがえた。

「まほうつかいに なれば いいんだ!」

まえに しんばあちゃんが つくってくれた、まほうつかいのぼうしを かぶろう。あれ?この ぼうし、ききみみずきん なんだって。


しんばあちゃんの願いは、秘密の願いです。お母さんに言うわけにはいきません。ゆうきは、天国へ行く方法を友達に相談します。魔法使いになればいいとアイデアをもらい、ばあちゃんお手製の魔法使いのとんがり帽子をかぶります。そうしたら、野良猫のドラが、お宮の森に行くといいと教えてくれました。お宮の森はちょっと怖いけど、ゆうきは勇気を出して一人で森へ。すると、しんばあちゃんの願いをかなえる方法を、ふくろうが教えてくれました。

七夕の夜は、織姫と彦星が年に一度出会える夜。その力をわけてもらって、しんばあちゃんは秘密の願いをかなえます。1年生~3年生くらい向けのやさしい物語。ゆうきとしんばあちゃんのやりとりする手紙も、イラスト入りでとってもすてき。田畑さんの優しさあふれる物語です。

子どもの世界はまっすぐで、不思議に満ちています。どんなことだって、起こりうるのです。小学校低学年くらいまでは、ファンタジーと現実がまだ一緒の世界に住んでいるそうで(何で読んだんだっけなあ)、自分のことを思い出してみると、確かにそうだったなあと思います。ふきの葉の下にはコロボックルがいたし、おしいれにはお化けがいました。そんな貴重な年齢に、いっぱいの不思議が心に貯まるといいなあと、心底思います。


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