安房直子/作 菊地恭子/絵 講談社
1993年
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小さな町のとうふやさんの ごしゅじんは、あさはやくおきて とうふを つくり、ひるは あぶらあげとがんもどきを つくります。ゆうがたになると、じてんしゃで とうふを うりにいきます。
まいつき十日の日だけは、とうふやさんは おやすみです。ところが、そのおやみの日、朝はやく すずめの おきゃくさんが やってきました。
すずめたちが そだてたまめで、とうふを一ちょう つくってほしいと いうのです。
タイトルは『すずめのおくりもの』ですが、「おくりもの」にたどりつくまでが大変です。月に1日しかないお休みを使って、すずめの持ち込んだちょびっとの大豆で、小さな小さな豆腐を作るご主人。でも、その間もうるさいのです。昼までは、大豆を水につけなくてはいけないのに、1時間ごとにやってきては「まだか」と騒ぐし、豆腐ができあがると、それで油揚げを13個作れと言い出すし。もう、ここまできたらご主人は、すずめたちに付き合います。この油揚げ、すずめ小学校の入学のお祝いの、お稲荷さんになるのです。
まあ、お礼にすてきなものを持っては来ますが、だからといって、ちゅんちゅん騒がれながら道具を工夫して、ミニミニ豆腐を作るのは大変ですよ。子どもの本では、山あいの村とか町のお店屋さんには、時々不思議なお客さんがやって来るものです。うらやましいような、大変なような。でも、結局どうぶつたちのいじらしさに、ニンゲンは勝てないですよね。ねこを飼ってると、身につまされます。