『魔女だったかもしれないわたし』


エル・マクニコル/著 櫛田理絵/訳 PHP研究所

2022年

スコットランドのジュニパーという小さな村に住む11歳のアディは、自閉です。忙しい両親と、双子の姉ニナとキーディと暮らして、大学生のキーディも自閉です。学校では、自閉や”人と違うこと”に理解のない担任教師と、アディを馬鹿にするクラスメイトのエミリーのせいで、時々困ったことに陥ります。でも、転校生のオードリーや姉のキーディ、図書室のアリソン先生が心の支えとなり、日々暮らしていくことができています。

ある時授業で、昔ジュニパーでも魔女狩りで命を落とした女性達がいたことを知り、自分に重ね合わせて衝撃を受けたアディは、村の委員会で魔女の慰霊碑を立てることを提案します。苦い過去をわざわざさらけ出したくない大人達の考えを理解できないアディは、何度もトライし、同時に学校でもつらい目にあいますが、決して進むことをあきらめませんでした。


自閉は、人によって出てくる症状が違うため、画一的な対応が難しいそうです。アディの担任の先生は、それを理解していないばかりか、人と同じことをしないアディを面倒くさく思っています。そのため、クラスメイトもアディを馬鹿にするようになり、アディは追い詰められますが、同じように苦労してきた姉のキーディの助けで、アディは立ち直ることができます。音に敏感だったり、感じやすい体質のアディは、図書室が大好きで、特にサメに夢中です。図書室のアリソン先生は、そんなアディを暖かく見守って理解してくれています。この本を読むと、別に自閉だからといって、考えていることや感じていることが違う訳ではなく、現れ方が違うだけなのかなと思います。人は多かれ少なかれ皆人と違っているのが普通なので、「普通」という枠に捕らわれないようにしないとな、と思います。アディの頑張りにこちらが励まされる物語です。

2023年の課題図書で高学年用になっていますが、中学生くらいのレベルのような気もします。


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