『せかい いち おいしいスープ』


マーシャ・ブラウン/文・絵 こみやゆう/訳 岩波書店

2010年

むかし、せんそうがおわり ふるさとへ かえる とちゅうの 三にんの へいたいが、おなかを すかせて ある村へ やってきました。

それを みていた 村びとは、たべものを あちこちに かくし、「たべものも ねるところも ないよ」と いいました。

三にんは そうだんすると、 おおきなこえで いいました。

「いまから、石のスープを つくります」

村びとたちは ふしぎに おもって あつまってきました。

村で いちばん おおきな なべを かりた へいたいは、村びとに 水をくんでもらうと、おゆをわかし、石を三つ いれました。

「しおと こしょうと、あと にんじんが あると おいしくなるんだが」

それを きいた 村びとが、にんじんを もって きました。

そして キャベツ、ぎゅうにく、じゃがいも、おおむぎ、きゅうにゅうも いれると、とっても おいしい スープが できあがりました。


最初は警戒感でいっぱいだった村人達ですが、「石のスープ」への好奇心から言われるがままに、食材を提供します。そして、スープができあがると、テーブルを持ち出し、パンと肉とお酒も持ち寄り、飲めや踊れやの大パーティとなりました。食べたことのないおいしい「石」のスープを食べた村人は大満足。兵隊を家に泊めると、翌朝はみんなで見送りました。

先日の『おなべおなべにえたかな』で、簡単に紹介した本書を改めて読んでみると、やっぱりなかなか面白いのでご紹介しました。兵隊がとんちで切り抜けるのではありますが、村人も大満足で、WINWINの大団円。なんだか、おかしくなってしまいます。

フランスの昔話をもとに、『がらがらどん』の作者マーシャ・ブラウンが絵本にしました。絵本とはいっても2色刷りの本書は、外見が地味です。文字も多めなので、子どもは自分から選ばないタイプの絵本です。でも、大人が読んでみてもじんわりと面白いので、読んで聞かせてあげたら、味わえる子もいると思います。過去に小学校2年生の国語の教科書で紹介されています。

もとはペンギン社で1979年に出版されたものが、現在は岩波書店から出版されています。ちなみにここで言う兵隊は、ナポレオン的な服装をしています。そのころのおはなしなのかなあ?