『おにいちゃんは世界一』


ウルフ・スタルク/作 マティ・レップ/絵 菱木晃子/訳

徳間書店 2002年

ぼくのおにいちゃんは、十二さいなのに、すごいんだ。みんなからは、親分ってよばれている。ぼくは、おにいちゃんとあそびたい。

おにいちゃんが、ゴミすて場でみつけたトースターをくれた。ぼくのたからものだ。

ふたりだけでるすばんをする夜、おにいちゃんは、いろんなたのしいことをしてくれた。ぼくのおにいちゃんは世界一だ。


お兄ちゃんは、実は普通のお兄ちゃんです。弟がついてくると面白くないから、一緒に遊ぶのは「今度、すっごく晴れた日な」といって先送りするし、怖い映画を見る時は、12歳以下は見れないんだと追い払うし、そのくせ、夜はちょっと怖くなって弟のところに来たり。インディアンごっこといって、弟を木にしばりつけると、友達と遊びに行ってすっかり忘れちゃったり、でも、思い出して慌ててやって来ると反省するけど、親には内緒だぞと念をおすし。ただ、この弟はとにかくお兄ちゃんが大好きなのです。

自分がきょうだいの上か下かで、物語を見る視点は全く違うと思います。あおぺんは上なので、このお兄ちゃんの心理が手に取るようにわかります。子どものころって、年上は、どうやって年下のものを操るか考え(ますよね?)、自分の都合のいい方に持っていこうとします(よね?)。あおぺんが、視点の違いに気づいたのは「となりのトトロ」を観た時でした。あおぺんは、お姉ちゃんの五月の視点から見ているのに対して、妹はメイの視点だったからです。三人きょうだいだと、真ん中の子はどうなるんだろう。両方の気持ちがわかるのかもしれないですね。

スウェーデンの人気作家スタルクの作品には、等身大の男の子たちが出てきます。この本は、とても短い作品なので、小学校2,3年生から読めると思います。ただ、表面に見えないお兄ちゃんの気持ちがわかるようになるのは、もう少し上の年齢ですかね。


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