『ぶたのたね』


佐々木マキ/作 絵本館

1989年

はしるのが おそくて、やさいと 木の実しか たべたことのない おおかみがいた。

「いちどでいいから ぶたの まるやきを たべたい」

そんな おおかみに、きつねはかせが ぶたのたねを くれた。

ぶたのたねを うえて、まいあさ はやくおおきくなるくすりを かければ、ぶたの木がおおきくなって、ぶたの実がなる。

おおかみが まいにち たのしみに まっていると、とうとう 大きな木に ぶたが いっぱい なった。ところが、そこへ・・・


おおかみの夢、ぶたの木。木に、たわわにぶたがなっているなんて、なんてすばらしいアイデア!初めて絵を見た瞬間、ショックを受けました。絵本をちゃんと読んでみると、おおかみのあまりのどんくささに気の毒になってきます。まいあさ、早く大きくなる薬をかけ、楽しみにしていたぶたの実(?)が、まさか通りすがりのランナーによって、ふいになってしまうとは。一匹だけ落ちていたぶたにも逃げられ、また一からぶたの木を育てるおおかみ。きっと、一生ぶたを食べられることはないだろうなーと思えます。兄弟編「またぶたのたね」(鉢植えタイプ)、「またまたぶたのたね」(一晩で大木に)もあわせてどうぞ。お子さんと読んだら、どんな木が欲しいか絵に描いてみるのも楽しそうですね!

ぶたとおおかみというのは、絵本の中では宿命のライバルです。一見、ぶたが圧倒的に不利そうですが、どうもそうではないのです。昔話の「さんびきのこぶた」も、結局おおかみが負けるわけですし、現代の絵本では、もう、ほぼおおかみの一人負け状態。いくつか思いつく絵本もあるので、ぜひ今後、紹介したいと思います。


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