『時計つくりのジョニー』


エドワード・アーディゾーニ/作 あべきみこ/訳 こぐま社

1998年

小さな男の子ジョニーは、ものをつくるのがじょうずでした。ところが、お父さんもお母さんも「あの子ときたら!また ばかなことをやっている」というのでした。

ジョニーのいちばんのお気にいりの本は、『大時計のつくりかた』。ある日、ジョニーは、じぶんで大時計をつくろうとおもいたちました。

でも、お父さんお母さんばかりか、学校の先生まで、おばかさんね、そんなことはできませんよ、といったのです。みんなにばかにされるなか、スザンナだけはおうえんしてくれました。


大時計とは、ジョニーの背丈より大きい振り子つきの柱時計です。当然、多くの材料が必要です。周りの大人が相手にしてくれない中、かしこいスザンナのアドバイスで、歯車やふりこを手に入れたジョニーは、とうとう大時計を作り上げるのです。ところがそれでもまだ、お父さんはチクタクいう音がうるさいぞ、などと言います。頭から、ジョニーのことを信じていないのです。自分の時計がとまってしまったことから、ようやくジョニーの時計のすばらしさに気づいたお父さんとお母さん。そして、大時計のことが知れ渡り、学校でも一目おかれるようになったジョニー。最後には、唯一協力してくれた大人ジョーとスザンナと3人で会社をつくるのです。スザンナは実に賢い女の子で、きっと彼女がいなければ、ジョニーも時計を作り上げることはできなかったはずです。影の主役です。

大人はつい、子どもを庇護する対象として見てしまいますが、子どもは子どもで立派なひとりの人間なのだなあと、時々絵本を読むと思います。ジョニーは自分が大時計を作ることができることを知っていますが、親はそれを信じないばかりか頭から否定します。普段から忙しさにかまけて、ジョニーを見ていない両親と思われます。親の知らないうちに、いつのまにか子どもは、しっかり成長しているのですね。


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