ウィリアム・スタイグ/作 おがわえつこ/やく セーラー出版
1988年

おやしきのおくさまに たのまれた ドレスが できあがったのに、おかあさんは げんきがありません。
「かぜを ひいたらしいの。」
「わたしが とどけてあげる」
アイリーンは、おかあさんに かぜぐすりを のませて、ドレスを はこにつめ、赤いぼうしに 赤いマフラー、コートにブーツ、てぶくろをはめて 雪がふぶくなか、おやしきに むかいます。
ドレスを入れた箱は、アイリーンの身長の3分の2程も大きく、雪はどんどん激しくなります。強風にも、雪にも負けないアイリーンでしたが、なんと箱が風にさらわれ、中のドレスが風に飛んで行ってしまうのです。でもアイリーンは、お母さんが何日も何日もかけて、ドレスを縫ったことを知っています。奥様に報告するために、大きな箱をかかえ、暗くなる中、ひざまでの雪をかきのけ、とぼとぼ進んで行きます。崖から雪ごと落ちた時には、もうダメだとあきらめそうになります。それでもアイリーンは立ち上がります。そんなゆうかんなアイリーンに、神様もほほ笑んだのでしょうか、おやしきの前の木にドレスが張り付いていたのです!おやしきの人たちも、アイリーンを手厚くもてなしてくれました。アイリーンは立派にやりとげたのです。
まさにゆうかんなアイリーンです。大人だってこんな困難を乗り越えることは、できないかもしれません。子どもならではの、まっすぐな勇気が発揮されています。お母さんは、誇らしさでいっぱいなことと思います。きっとアイリーンは、しっかりした強い女性に成長するのでしょう。しっかりものの女の子は、手がかからない分、お母さんに甘える機会が少なくなるような気がします。そんな女の子をお持ちのお母さん、ぜひこの絵本を読むひと時を一緒に過ごしてください。作者のスタイグは、ユニークな作品が多く個性豊かな登場人物ばかりです。映画になった『みにくいシュレック』が有名です。