『オーじいさんとチーばあさんの春・夏・秋・冬』


松居スーザン/さく 杉田比呂美/え ひさかたチャイルド

2004年

森のはずれの小さな家に、オーじいさんとチーばあさんがすんでいました。オーじいさんはとても大きい人、チーばあさんはとても小さい人でした。

ある春の日、チーばあさんはオーじいさんに花のたねの入ったふくろをわたすと、麦のたねを買いにでかけました。「たねをにわにまいておいてちょうだい」

うれしくて、ちょっととびはねたオーじいさんは、ふくろをゆかにばらまいてしまいました。「かくしとこう」オーじいさんは、たねをゆかのあっちこっちのすきまにおしこみました。そして、たねのかわりに色とりどりのボタンをにわにうえました。

チーばあさんが麦のたねのふくろをかついで帰ってくると、オーじいさんがふくろをとったひょうしに、ひっくりかえしてしまい、麦のたねはぜんぶ家のまえにこぼれてしまいました。

その年、ふたりの小さな家のゆかからはいろんな花がさき、家のまわりはみどりの麦の海になりました。ふたりはしあわせでした。


6月には、オーじいさんの誕生日会、夏には星とり、秋にはオーじいさんのたいへんな留守番、冬には屋根裏で動物の宿屋をし、そしてまた春がやってくる。おもしろくて幸せなオーじいさんとチーばあさんの6つの短いおはなしが、たくさんのかわいいカラーイラストつきで入った物語です。時々みょうなことを始めるオーじいさんに、なんでも受け止めるチーばあさん。お年寄りだとは思うのですが、なんだかちょっと子どもみたいなところがあって、とってもチャーミング。こんなお年寄りになれるなら、年をとることも楽しそうと感じられます。そんなに文字が多くないので、本が苦手な子にもおすすめ。4年生のブックトークに持っていったら、男の子が紹介した最初の話の最後に「しあわせなのかい!」とつっこみをいれてくれました。

残念ながら絶版になってしまっているようなので、こういう本はぜひ図書館でおかりください。


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