『アンナの赤いオーバー』


ハリエット・ジィーフェルト/作 アニタ・ローベル/絵

松川真弓/訳 評論社

1990年

「戦争がおわったら、あたらしいオーバーを買ってあげようね」

でも、戦争がおわっても、お店はからっぽ。食べ物もお金もない。

お母さんとアンナは、春になると金時計と羊毛を交換した。

夏には、ランプと交換に羊毛を毛糸につむいでもらった。

夏のおわりには、森でコケモモをつんで、毛糸を赤くそめた。

ガーネットのネックレスと交換に、赤い毛糸を布地におってもらい、

ティーポットと交換に、オーバーをしたててもらう。

クリスマスには、できあがったオーバーを着て、

作ってくれた人たちをまねいて、パーティーができた。

羊たちも、「メエエエ!」ってよろこんだようだった。


お母さんが、アンナのオーバーを作ろうと考え始めてから約1年間が描かれます。最初は戦争のせいで、色の少ない町の中から始まります。戦後の物々交換というと、あまり明るいイメージはないのですが、この物語の中の人たちはうれしそうに交換に応じてくれます。お母さんとアンナも毎週のように、おひゃくしょうさんのところへ通って、羊の世話もします。そして、毛刈り、糸つむぎ、染色、機織り、仕立てと、オーバーが出来上がっていく過程も一緒に楽しめる絵本です。最後には、色のあふれるクリスマスパーティーのシーンになります。すてきなお母さんと、いつも楽しそうなアンナの愛情あふれる絵本です。ローベルの作品は、一見地味に見えるかもしれませんが、とてもすてきな絵本ばかりです。ぜひ、ごらんください。

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