『こんとあき』


林明子/さく 福音館書店

1989年

こんは あかちゃんの あきの おもりをするために おばあちゃんのところから きました。

あきが おおきくなると、こんは ふるくなり、とうとう うでが ほころびてしまいました。

ふたりは でんしゃにのって おばあちゃんのいえを めざします。

こんが でんしゃのドアに しっぽを はさまれたり、いぬに くわえて もっていかれて しまったり、

どんどん ぼろぼろに なっていく こんをこんどは あきが まもります。


ふたりが旅に出た当初は、こんがお兄さんとしてがんばります。でも、電車でお弁当を買いに行ったこんのしっぽがドアにはさまり、探しに来たあきとふたりでドアのそばでお弁当を食べたり、(はさまれたしっぽは車掌さんが手当してくれました。)犬からあきを守ろうとして、逆にくわえられたあげく、砂の中に埋められたり。あきに助け出されたこんは、もう息もたえだえです。ただ、小さな声で「だいじょうぶ」と言うだけのこんをあきは背負って、おばあちゃんの家をめざします。ここまでの、ふたりの気持ちが手に取るように伝わってきて、こちらもはらはらどきどきします。作者の林明子さんは、『はじめてのおつかい』などの作品で知られていますが、一冊の本を作り上げるのに、ものすごい労力と時間をかけているのだそうです。女の子にぜひ、プレゼントしたい本です。こんの型紙の絵が、表題紙に書いてあるのですが、このとおり布を切ったら、こんができるのかな?といつも気になっています。福音館書店のHPには、「こんをつくろう」というさらに親切なページがあるので、腕に自信のある方はお試しください。


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